近年インターネット上などでよく見聞きする弱者男性という言葉。
非常に耳と胸が突き刺されるように痛くなるこの「弱者男性」というワードですが、具体的にはどのような定義や条件があるのでしょうか。
また実際にこの弱者男性に当てはまる人はどの程度の割合存在しているのでしょうか?
今回はそのような疑問にお答えすべくまとめてみたいと思います。
弱者男性とは?どういう条件で当てはまるのか?
弱者男性とは言っても、具体的にはどのような男性が当てはまるのでしょうか?
「弱者」の定義は曖昧だとしつつ[3]、その構成要素の候補として、労働の非正規性や収入、容姿、コミュニケーション能力、パートナーの有無、発達障害や精神疾患の傾向
Wikipedia 弱者男性 のページより
- 1.収入及び雇用面
- 2.容姿(見た目)
- 3.コミュニケーション能力
- 4.パートナーの有無
- 5.発達障害や精神疾患を持つ
今回はこの5点に絞ってまとめてみたいと思います。
多種多様化する現代社会において適応して生き抜いていくためには不可欠とも言えるこれらの項目について1つずつスポットを当てて見ていきましょう。
1.収入及び雇用面
いきなり来ました・・・。「収入面」の問題。
世の中金さえあればほとんどの事は解決出来るという考え方もあるように、最も重要とも捉えられる金銭面です。
ただし私のこれまでの感覚から言えば、今回の弱者男性を定義するにあたり、この「収入面」はそこまで重要ではないと考えます。
国税庁の令和4年分 民間給与実態統計調査によりますと
男性の平均年収は563万円
ということです。
転職サイトdodaによりますと
20代男性・・・350万円
30代男性・・・450万円
40代男性・・・530万円
50代男性・・・600万円
住んでいる地域、都市部や地方かによってももちろん基準や平均は変わってきますし、年代ごとの差ももちろんありますが、年代ごとの詳細なデータが見つからなかったため、
年収300万円以下ということを「収入面」での弱者として、仮定します。
年収300万円あれば一般的に、独身でぜいたくをしなければ普通に生活できると考えます。
令和3年分民間給与実績統計調査によりますと年収300万円以下の男性は約20.7%ということです。
次に雇用形態の正規・非正規についてみていきます。
令和3(2021)年の非正規雇用労働者は、男性652万人(21.8%)
これらより、ここでは上の年収と雇用形態から踏まえ、「収入面」での弱者として21%だとします。
弱者男性と低収入・非正規雇用は直結するのか?
率直な感想としては結構多いです。5人に1人です。
収入が低い=貧困=弱者男性というのはメディア等で最も多く語られることかと思います。
ですが弱者男性とする条件として「収入面」よりも次からの項目がより重要になってくると私は考えます。
収入面に関してはその人の努力次第で今後最も上昇する可能性が大きいわけですので。
更に言えば人生の豊かさを求め、収入はそこまで気にしないという層もここには含まれます。
2.容姿(見た目)
続きまして容姿(見た目)の問題です。
弱者男性とほぼセットで語られる言葉として「非モテ」という言葉があります。
非モテとはそのままの意味で、モテるに非(あら)ず。異性からモテないということを指します。
弱者男性・非モテの象徴としての「チー牛」
また近年この非モテ男性を象徴する姿として「チー牛」という姿があります。
チー牛とは暗く目立たない性格である「陰キャ」を指すような言葉で、「チー牛」は「チーズ牛丼」の省略形であり、「チーズ牛丼を注文してそうな顔」を「チー牛」とネット上で揶揄されるようになりました。
- ザ・陰キャという顔
- 眼鏡
- 黒髪で子どものような髪型
- 覇気のない顔
- 童顔
- 大人なのに中学生のようで気色悪い
オタクは弱者男性か?
またいわゆる非モテの先駆けである「オタク」といいますと、
こういう姿をした見た目の男性がイメージされた時代もありました。
これは電車男という作品が流行った当時2000年代のオタクの象徴のような姿でしたが、今はこのようなザ・オタクというような格好の方はほとんどいないと思いますし、オタク=弱者男性というのは違います。
今の時代はオタクは「知識が豊富」という解釈もできますし、オタクであることがステータスになる場合さえあります。
また、こよなく愛する対象がある事や自分でその趣味を選んでいるため、弱者男性ではありません。
- 幼さの残る顔立ち(中学生っぽい・童顔)、髪型
- 姿勢が悪い(猫背)
- 表情に乏しく活気がない
チー牛のような見た目の割合はどの程度いるのか?
この弱者男性の象徴ともいうべき「チー牛」というのはどの程度存在するのでしょうか?
これに関しては統計とかが無いのであくまで個人の主観になってしまいます。ご了承ください。
例えば中学・高校の頃の学校を思い返してみます。
40人で1クラスとして、男子が20人だとしましょう。
これに当てはまるのはせいぜい2~3人くらいかなと思います。
1クラスに2人として10人に1人の割合、つまり仮にですが10%とここではさせていただきます。
3.コミュニケーション能力
次の項目は「コミュニケーション能力」です。いわゆるコミュ力というものです。
要は円滑な人間関係を築く力ということです。
そしてコミュニケーション能力に欠如する人の事を巷では「コミュ障」等と揶揄(やゆ)します。
友達がいない人はどの程度いる?
コミュニケーション能力というのを測るモノサシもないですし、ここでは「友達がいない人」の割合を見ていきましょう。
ここではわかりやすいように、
友達がいない=人間関係を築くのが苦手と便宜(べんぎ)上させていただきます。
2022年のBIGLOBEのアンケート調査によりますと上記のようになります。
男女別はわかりませんが、赤の当てはまる と回答された方を「友達がいない」とすれば、全年代を通して16~19%ということがわかりました。
4.パートナーの有無
多様化する今の時代にパートナーの有無というので、良し悪しがあるとは一概に言えないとも思いますが、弱者男性には「孤独である」というイメージはつきものかと思います。
上のコミュニケーション能力とも密接に関わってきます。
2020年の国勢調査によると生涯未婚率は男性28.3%、女性17.8%ということです。
また別の内閣府の調査では以下のグラフのようになっています。
こうしてみると20代の、「配偶者、恋人がいない」割合が突出して高いことがわかります。
その他に参考データとしてリクルートの調査 恋愛・結婚調査2023によると20~40代未婚者のうち、恋人がいる人は29.7%というデータがありました。
おおよそですが、
・生涯結婚しない男性は30%(10人に3人)
・結婚しておらず、恋人も現在いないという人は7割(大体3人に2人)
男性の20%ほどが、生涯結婚しない更に現在は恋人がいないということではないかと思います。
5.発達障害や精神疾患を持つ
発達障害や精神疾患というのは生まれつきの性質であったりもするので弱者男性と関連づけて言及するのも、ややはばかられる項目ともなってしまいますが見ていきましょう。
発達障害の原因は生まれつきの脳の機能の障害であることがわかっており、本人の努力や育て方が原因ではありません。
うつ病や統合失調症などの精神疾患については周囲の環境によるストレスが原因や、生まれつきの脳の機能により、かかりやすい人とそうでない人がいるそうです。
発達障害の人の割合は?
2022年の文部科学省の調査によりますと、小中学校における通常学級で発達障害の可能性のある生徒は8.8%だということです。
その他にもグレーゾーンや大人になってから発覚するという人を含めればおおよそ10人に1人程度と考えられるかと思います。
精神疾患の人の割合は?
厚生労働省の調べによりますと、精神疾患で入院や通院している人は420万人ほどとのことです。これに関しても年々増加傾向です。
少なくとも30人に1人の割合で現在受診している人がいることがわかります。
結論:弱者男性の割合は?それぞれの要因の関連性を探る
弱者男性はこれらの要素を複合して形成されると考える
ここまで細かく見てきましたが、これらの弱者男性を生み出す要因のそれぞれが独立したものではないと考えられます。
例にとってみます。
・コミュニケーション能力がない ⇒ 仕事で評価を得られない ⇒ 収入が増えない
・発達障害や精神疾患の影響 ⇒ コミュニケーションがうまく取れない・仕事が上手くできない
・見た目(容姿)で見定められてしまう ⇒ 恋愛が出来ない
・お金がないので色々な経験が出来ない(人生経験少ない) ⇒ 見た目(容姿)が成長しない
一般的な人(強者男性)はそれぞれの要素が好循環をもたらす
まず一般的な人(ここでは仮に強者男性とします)を図にしてみました。
お互いの要素が上手くサイクルしていくことにより、より人間の魅力が上昇していく様子がわかるかと思います。
弱者男性はそれぞれが悪い影響を及ぼしあってしまう
続いて弱者男性の例を図で見ていただきましょう。
それぞれがそれぞれの要素を阻害しあってしまいます。
ですので弱者男性の場合は強者男性の場合と異なり、循環が回らない、むしろ悪循環になってしまいます。
発達障害が起因して、仕事が苦手だったり人間関係の構築が苦手の場合もあります。
また見た目(容姿)が成長しないということにも影響が出てきてしまうこともあります。
更に人間関係や仕事からのストレスで精神疾患を患ってしまうリスクもあります。
いずれかが平均以上であれば弱者男性ではないのでは?
ここまで弱者男性について書かせていただきました。
- 収入(仕事)
- 見た目(容姿)
- コミュニケーション能力
- 人間関係(パートナー)
上ではそれぞれが重なりあって弱者男性を形成しているということに触れさせていただきました。
それではこれらのうち1つでも世間一般の平均より抜けている場合はどうでしょう?
・コミュ力も無く友達もいないが技術職等で手に職があり、世間一般の収入より高い。
・低収入の仕事でコミュニケーション能力は無いが、生まれついての美男子。
・アルバイト生活で収入も低いし、顔も不細工だが、面白い事を考える能力やコミュ力は高くお笑い芸人を目指している。
・収入も低くコミュ力も低いが、なぜか相性が合って結婚した奥さんが美人でお金持ち
上記はあくまでも例えですがこういった人の場合は弱者男性には当てはまらないと思います。
それは何故かというと一つでも平均以上のものがあれば他のサイクルもゆっくりながら回ってくるので次第に好循環になっていくものと思われます。
結論として弱者男性はどのような人でどのくらいの割合なのか?
弱者男性とはつまり、
- 収入(仕事)
- 見た目(容姿)
- コミュニケーション能力
- 人間関係(パートナー)
これら全てが上手くいかずに、サイクルが回せず、もがき苦しみ、次第に諦めている男性なのかと思います。
それは発達障害などの生まれ持っての特性が原因である事もあります。
また困難が多いゆえに精神疾患を患うこともあります。
弱者男性の割合の考察
年収300万円以下の男性はおよそ20%
非正規雇用の男性もおよそ20%
見た目(容姿)で弱者男性と見られる可能性のある男性はおよそ10%
コミュニケーション能力に課題のある男性はおよそ15%
パートナーのいない男性はおよそ20%
発達障害の可能性のある男性はおよそ10%
精神疾患をもつ男性はおよそ3%
仮に100人の男性がいた場合、
収入(仕事)で困っている人は20%なので20人
見た目(容姿)で弱者男性と見られる可能性のある男性は10%とするとおよそ100人に10人ですが、その10人のうち9人は上と重複するとします。
そのうち8人がコミュニケーションに問題があり、そのうち7人が人間関係(パートナー)が築けないと考えます。
あくまで90%は重複しているとした場合の仮説です。
日本人男性の7%(100人に7人)が弱者男性という立場であると考えます。
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございました。
・弱者男性は、経済面・容姿・コミュニケーション能力・人間関係で問題がある。
・それぞれが悪影響を及ぼして悪循環(負のスパイラル)に陥ってしまい抜け出すのが困難。
・日本人男性の7%くらいがいわゆる弱者男性と呼ばれる人である可能性がある。
・いずれかの要素が上手くいっている人は弱者男性に当てはまらないと考えられる。
SNS上などで弱者男性という言葉を見るたびに、なんだかモヤモヤしてしまいます。
今回のまとめと今後の対策を書きます。
どれか1つの要素で平均以上をとろう。
一番現実的なのは収入(仕事)を良くすること。
平均以上をとるということで努力をするのであれば、間違いなく「収入を上げる」の要素一択です。
何故ならば、今回お話した見た目(容姿)がチー牛っぽいというのは改善するのが一番難しく時間がかかります。
コミュニケーション能力を高めようとしても、今現在友人やパートナーがいなければなかなか難しいです。
しかし収入(仕事)を良くし、経済面が良くなればそれに伴い色々な経験が増え、他の要素も改善されていき、弱者男性から卒業できる可能性が高いです。