お酒って美味しいし、程よく飲む分にはストレス発散にもなるし良いですよね。飲み会やお酒の席でもアルコールが入ることによって、普段なかなか話しにくいことも話しやすくなったり、初対面の人ともお酒の勢いを借りて打ち解けやすくなるという方もいらっしゃると思います。
しかしいつの間にか飲酒量が増えてしまい、自分でコントロールが効かなくなってしまった方や、毎日ついつい飲みすぎてしまう方。そしてお酒をやめたいのにやめられない方の少しでもお役に立てればと考えています。
今回の記事では私自身も個人的に禁酒をしたいタイミングという事もあり、人がアルコールに依存してしまう仕組みと、飲みすぎることにより脳に与える影響についてまとめてみたいと思います。
身体に及ぼす悪影響や、お酒をやめる方法についてはまた別の記事で書かせていただきます。
この記事を読んでしまったら、もう怖くてお酒を飲めなくなるかも!?
お酒を飲むのが習慣になり、量が増えていくまで
付き合いや興味から始まるお酒だったはず
お酒を飲み始めた頃って、そんなにお酒飲みたかったでしょうか?
いくら生まれつき「お酒強い」という方や、今では「飲んでも飲んでも足りない」という方でも、初めてお酒を飲んだ時から、
「うっま!酒って最高だぜ!」
「まだまだ足りない!酒買ってこよ!」
というような方は滅多にいないはずです。
いくら飲んでも初めから全然酔っぱらわなかったというお強い方はいらっしゃるかもしれません。
そういう方もお酒を飲む理由って、「友達のノリで」・「先輩に連れられて」・「宴会するのが楽しい」「興味本位で」etc..という理由だったのではないでしょうか?他の人とのコミュニケーションの間にあったのがお酒。お酒を飲むことが目的で飲み始めた方は案外少ないかと思います。
気付いたらお酒の量、増えていってませんか?
初めは多くの方は、
「ビールは苦くて飲めないけど、ワインとかサワーなら甘くて飲みやすい」
「家で飲む晩酌なんて缶チューハイ1本で十分だよ!」とか言っていたのが、少しずつお酒に対する免疫もついていくと、次第に飲むお酒の種類も変わっていったり、量が増えたり度数の高いお酒に変わっていったりしていませんか?
お酒を飲むことが目的の飲み方になっていませんか?そんな方は少しこれから注意が必要かもしれません。
1日の健康的な飲酒量とは?
一般的に言われる適切な飲酒量とは?
厚生労働省のHPによると一般的な成人男性の適切な1日の飲酒
厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20グラム程度の飲酒と書かれています。
純アルコールで20グラムと言われてもなかなかピンと来ませんよね。
わかりづらいかもしれませんが、
500mlの缶ビールのアルコール度数が5%だった場合、
500ml×5%×1/100×0.8=20(g)これでピッタリ純アルコール量は20(g)になります。
この飲酒量を守っていれば、健康には問題無いですということのようです。
他のお酒だと、どの程度の量か下に表を載せておきます。
純アルコール量 20g換算(多少前後します)の飲酒量。
これを見て私は正直「え、これしか飲めないの!?」と思いました。
「普段からこの量の何倍も飲んでいる」という方、いらっしゃるのではないでしょうか。
大量に飲酒しないと満足できない身体に・・・なっている。
単純にアルコールに免疫がついてきているという事もあります。
それがいわゆる「酒に強くなった」と世間で言われることだと思います。
「無理やり飲まされても吐かなくなった」「深酒しても気持ち悪くならなくなった」
これらはお酒に慣れたという言い方のほうが正しいかもしれません。
しかし「飲みたくて飲みたくて我慢できない」という感情はまた別のところからきます。
はじめのうちは家で1人でする晩酌の場合、上の純アルコール量20gの飲酒量でも十分に満足していたのではないでしょうか。
それが、毎日の晩酌が習慣になるにつれ「もっと飲みたい」という欲が出てきてしまいます。
何故「いくら飲んでも足りない」のか?
これには皆さんも聞いたことのある「ドーパミン」の関係があります。
お酒をどんどん飲みたくなるのはドーパミンが原因!?
はじめのうちは、適度な飲酒量でも十分に満足していたのではないでしょうか。
それが、飲酒習慣がつくにつれ、「もっと飲みたい」という欲が出てきてしまいます。
これには皆さんも聞いたことのある「ドーパミン」の関係があります。
ドーパミンとは・・・?
ドーパミンと聞くとどういうイメージを持ちますか?
ドーパミンは一般的には、
- やる気を引き出すのに必要
- ドーパミンを増やしてモチベーションをあげる
というようなポジティブ(プラス)なイメージを持たれている方も多いと思います。
お酒を飲むと気持ちよくなるのは、ドーパミンが活性化しているから
ドーパミンは神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしてる。
アルコールを飲むことによって快く感じるのは脳内の報酬系と呼ばれる神経系が活性化するためと考えられていて、この報酬系ではドーパミンが中心的な役割を果たしています。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより引用
「お酒を飲むと元気になる」というのは、脳内の「報酬系」に心地の良い刺激(この場合だとアルコール)が与えられてそれを「快感」「興奮」に感じているという事です。
その時に発生しているのがドーパミンです。
「ドーパミン」が放出されて脳内の「報酬系」の働きを活性化しているという事です。
では何故このドーパミンがお酒の量が増えることと関係しているのでしょうか。
アルコールを繰り返し摂取すると「ドーパミン受容体」というものが増えるそうです。
ドーパミン受容体とは・・・?
ド-パミン受容体は、D1、D2、D3、D4、D5受容体と5種類あるとわかっています。
Akira Magazine より引用
ドーパミンが受容体と結合すると神経細胞に電位変化が起こったり、細胞内の情報伝達系が動いてさまざまな変化を受け手の神経細胞に引き起こします。
5種類のD1~D5については別の機会に触れさせていただければと思います。
分かったことは「ドーパミン受容体」と「ドーパミン」が結合した時に人間の脳内に「気持ちいい」と感じさせるという事です。
アルコールを数日間にわたって繰り返し摂取したハエでは、脳内で快楽を伝達する物質であるドーパミンの受容体の量が増えていました。
2021年の東北大学プレスリリース・研究結果より引用
この「ドーパミン受容体」というものが、人間の脳の中で「ドーパミン物質」を欲しがり、止まることのない「欲求」・「欲望」・「快楽」を欲する脳の中の欲張りな奴で、だらしない張本人のようです。
脳が果てしなくアルコールを欲しがるのは何故?
ここからはどうして人の欲望(ここではアルコールへの枯渇)がとどまらなくなってしまうのかを例えて紹介したいと思います。
4人の兄弟に例えて説明いたします。
長男 「欲しがり坊や」
常に「満足が得られない」と騒ぎ立てる迷惑な奴。
「もっとくれ・足りないよ」と満足するという事を知らない。
こいつがなんでこうなってしまったかというとアルコールを次から次へとカラダに運んでしまったために満足できるまでの量が増えてしまっている。
こうしている今日だって、昨日より多くの酒を与えないとこいつは満足しなくなっています。
飲めば飲むほどに容量はどんどん増えていってしまいます。
まるで食べれば食べるほど体が大きくなってしまうみたいに・・・。
次男 「ぜいたく坊や」
上の「欲しがり坊や」と似ているけど少し違います。
こいつのせいで、飲み始めるのを我慢できなくなってしまうのです。
- 「良い酒が今日もあるぜ」
- 「キンキンに冷蔵庫で冷えてるぜ」
- 「仕事帰りにたまにはあそこの店で1杯やってこうぜ」
と、あらゆる手を使って誘惑してきます。
飲み始めたらこいつ(ぜいたく坊や)は満足しますが、今度は上の「欲しがり坊や」が満足できないからいつまでも飲み続ける羽目になってしまうのです。
三男 「おくびょう坊や」
次男「ぜいたく坊や」が様々な手段を使って誘惑してくるのに対し、このおくびょう坊やはアルコールが抜けてくると脳と身体のバランスが崩れ、一般的に言う「離脱症状」を引き起こします。
「離脱症状」は禁断症状ともいい、不安・頭痛・めまい・イライラ・動悸など様々な症状があります。
「自分てこんなにカラダ弱かったっけ」というくらい、このおくびょう坊やによって、アルコール摂取が習慣になった身体を攻撃してきます。
末っ子 「ささやき娘」
この末っ子の「ささやき娘」がいるおかげで脳のバランス(兄弟たちの調和)が保たれているといっても過言ではありません。
「ささやき娘」が上のどうしようもない兄たちの手綱を握っています。
しかしこの娘もさんざん誘惑に揺すぶられてしまうと弱いという弱点があります。
私が「ささやき娘」と名付けたこの末っ子を世間一般には「前頭葉」と呼びます。
前頭葉とは・・・?
前頭葉の位置はおでこの後ろあたりになります。
頭のてっぺんから前半分の大部分を占めます。
さてこの前頭葉は人間の脳の中で何をしているかというと、
- 考える
- 感情のコントロール
- 記憶する
- 集中する
- 考える
- 応用する
- アイデアを出す
- 判断する
といったことが挙げられます。
「これって人の思考のほとんど全部では?」そう思いませんでしたか?
そうです。人間らしい生活をするための働きのほとんどを担っているのが前頭葉になります。
アルコールと前頭葉の関係
アルコールというのは、肝臓に悪いとか、身体を壊すとかいうのはよく聞くかと思いますが、飲みすぎは脳にも悪影響を及ぼすという事のようです。
アルコールを飲み続けることによって、本来ならば飲みすぎないようにコントロールしてくれるはずの脳の前頭葉にダメージが蓄積されていきます。
それにより、
悪魔「ほらほら、もっと飲んじゃえよー」
といった悪魔のささやきともうまくやりあってきた前頭葉も次第にあきらめるようになっていき、
「もう好きなだけ飲んで良いか。」
と本来の仕事を放棄してしまうのです。
そしてアルコール依存症へ・・・
飲酒習慣が過剰になっていき、「前頭葉」の働き・バランスが悪くなると、次第に「アルコール依存症」になっていきます。
アルコール依存症にも段階があり、症状等により「初期」「中期」「後期」と分類されています。
アルコールの摂取と脳の損傷
大量飲酒は脳萎縮と認知症の予備軍!?
脳萎縮と認知症と聞くと
「え、何それ。怖い」
と思いますよね。
実際にアルコール依存症や大量飲酒者には脳委縮が高い割合でみられ、更に認知症になる人が多いという調査結果があるそうです。
飲酒の有無に関わらず人間の脳は30歳を過ぎるころから少しずつ萎縮(小さくなっていく)していきます。
アルコール依存症のような明らかなアルコールの大量摂取者は更に高い割合で脳委縮が見られるそうです。
脳委縮が進んでいくと認知症のリスクも増大してしまいます。
最近の調査によれば、飲酒量と脳萎縮の程度には正の相関が見られることが報告されています。
すなわち飲酒量が増えるほど脳が萎縮するということです。
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございます。
嫌な話ばかり書いてしまい申し訳ございません。
この記事では、
- 飲酒量が増えていってしまう理由
- アルコールとドーパミンの関係
- アルコールが脳に与えるリスク
について主に書かせていただきました。
毎日、フラフラになるぐらいの飲酒習慣になってしまうと、次の日起きたとき「これじゃまずいよな」という気持ちになりつつも、やめられない。
やめたいのにやめられない。
この気持ちとてもよくわかります。
しかしやっぱりどこかで心身に不調を起こす日は来ると思います。
それは人によってタイミングは違うでしょう。
明日かもしれないし、5年後・10年後かもしれません。 身体を壊して病院に運ばれる時かもしれません。
私が恐ろしくなったのは、中島らもさんの「今夜すべてのバーで」を読んだのもあります。
禁酒のタイミングだけは自分で選べます。
また、後日禁酒のノウハウについてもまとめていきたいと思います。